
2008.02.07
[橋野桂]
橋野桂の開発通信 Vol.26
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皆さん、こんにちは。
ペルソナ3ディレクターの橋野です。
寒すぎ。
さて、「ゲームシステム方面」の開発苦労話…というテーマで、進めてまいりましたが、今回は、日常のゲーム進行の調整のお話をします。
製品版では、寮のラウンジに帰ると、「おかえり」と言われたり、「タルタロスいかないか?」などと誘われたりするんですが、実は、当初仕様には、こういう「挨拶」や「誘い」はなく、話しかけて初めて、挨拶されたり、誘われたりする仕様でした。
しかし、通しプレイが出来るようになって、進行を試してみると、話しかけないとリアクションのない生活感が、寂しい…というより、ゲーム進行として目的が見えなくなり、このままでは、ゲームにならないぞ…というレベルの問題が発生しました。
こう聞いて「そんなもんなの?」と思った方、多いと思います。
けっこう、RPGのゲーム進行の調整は、ほんのちょっとしたことで、感触が大きく変わるのです。
これに関連した話をしてみます。
この業界にいると、よく、シナリオについての話題や議論の中で、「ドラマのシナリオと、ゲームのシナリオは違う」といったような話を耳にします。
シナリオライターの方が、初めてゲームシナリオを担当するときなどは、やはりこの違いに、苦労される場合もあるようです。
その違いのひとつに、ゲームならではの「キーフリー」があると思います。
もっと突き詰めて言うと「キーフリーの為の目的設定」の存在といったらいいでしょうか。
小説やドラマは、この「キーフリー」というものがないので、極論、主人公が全く目的を持たないような人物として描かれていても、お話はどんどん進みますが、ゲームの場合は、キーフリーの時点で立ち往生です。
なので、普通はそうならないように、キーフリーの前までに、次の行動の為の示唆を入れる必要があります。
皆さんにも、こんな経験ありませんか?
予定のない休みの日に、家にいるのもなんだからと、とりあえず外に出るんだけど、しばらく、ボーっと行き先を考えて立ちどまってしまった経験。
開発中のペルソナ3も、こんな感じでした。
キーフリーのたびに立ち止まってしまうので、これはまずいなぁ…と。
日常のカレンダーさえあれば、日々を進められるだろうと、当初は思っていたのですが、実際は、他者からの挨拶や誘いといった、「流れ」に乗るような動機付け…が必要そうだなと。
これ、現実でも考えてみれば、そうかもしれません。
誘われたから、とりあえずいっとく…とか、流れに身を任せてみることってありますよね。
全ての行動を1人の意志で常に決定し続ける…なんて、かなり疲れてしまうことのような気がします。
…要するに、挨拶一つ入れただけでゲームの進行の感触が、ずっとよくなりました…という話でした。
なんだか、2行程度で済む話を、拡大してお送りしてしまったような気がしますが、別に開発のネタが尽きかけているわけでは決してありません。
ではー。
[橋野桂]
◆「真・女神転生III-NOCTURNE」「ペルソナ3」「ペルソナ3フェス」「ペルソナ4」ディレクター
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